おにぎり協会 in EXPO Milano (2) 〜万博後編〜
みんなの反応が心配だった初めての海外イベント
前日深夜からの食材搬入もあり、21日は朝からぐったり…でもそんなことは言ってられません。なんといってもおにぎり協会初の海外イベントが開催されるんです!
一同、気合を入れて会場へ。おにぎり協会のステージは3日間。
調理場では試食用のおにぎりを用意するために炊飯器がフル稼働。ステージ裏では映像や音声の最終確認が行われ、緊張感がただよいます。果たしてみんな来てくれるのか…おにぎりを受け入れてもらえるのか…不安もいっぱいです。
また万博会場内は規制も厳しいのですが、ここもまた海外ならではのやりとりがありました。イベント当日に試食について「手で直接食べ物に触れさせてはいけない」と言われたので、中華街へ急いで向かいあわてて割り箸を用意したら「消毒させれば問題ない」と話が変わったりと振り回されます。運営側もルールが定まっていないのか、統制がとれていないのかわかりませんが、現場でその都度対応することが求められました。
とはいえイベントが始まると3日間すべての回が満員で、日本食への関心の高さが伺えました。
東京で一番古いおにぎり屋「宿六」の三代目・三浦洋介さんがステージで実演を行います。
また、フードブロガーのフォーリンデブ 橋本陽さんもおにぎりの被り物を被ってステージを盛り上げてくれます!
来場者には実際におにぎりの握り体験をしてもらったあと、試食でおにぎりの味を楽しんでもらいました。
「日本食は好きだけどおにぎりは食べたことがない」という人が「寿司より美味しい!」と言ってくれたり、実際におにぎりを握るためのワークショップが満員になったりと嬉しいことが続きます。50代のご夫婦は「日本食といえば、寿司しか知らなかったが、おにぎりがこんなに美味しいとは思わなかった。海苔は何かと思ったけれど、海藻だと聞いて驚いたよ」と話してくれました。
今回試食で出したおにぎりは「梅干しおにぎり」「焼きおにぎり」「和牛そぼろおにぎり」。実際におにぎりを握ったのは我々ですが、多くの企業が快く協賛してくれました。お米は日本でも人気の「ゆめぴりか」。梅干しをUMEという世界語にしようとしている「株式会社トノハタ」の梅干し。ミラノで美味しい和牛が食べられる「矢澤ミート」の牛肉。焼きおにぎりに欠かせない醤油は「ちば醤油」。そしておにぎりと一緒に楽しむ米焼酎は「高橋酒造株式会社」の「しろ」。今回のイベントは多くの食材がなければ成立しませんでした。どれもすべておにぎり協会の趣旨に賛同してくれ、協力してくれたみなさんのおかげです。
「Buono!(おいしい!)」「また食べたいからお代わりもらってもいい?」と日本の食材は大人気。どのおにぎりもあっという間になくなるので、調理場は一日中てんやわんやの大騒ぎです。
また、現地のメディアの注目も高かったのが印象的です。日本よりも、ブロガーの影響力や立場が強いのが欧米ですが、今回はおにぎり協会のイベントに合わせて17人ものパワーブロガーが来場してくれました。
代表の中村祐介や三浦さん、橋本さんも取材を受け、その様子がさらにおにぎり協会の注目を集めていました。
意外? おにぎりとイタリアのひみつ
3日間のイベントを終えて、驚いたのはおにぎりの人気です。イタリアではリゾットを日常的に食べると知っていたのである程度は受け入れられると思っていましたが、まさかここまでとは。
現地で出会った人たちと話をする中で、気がついたことがありました。取材を受ける際に中村も話していたのですが、日本人が日常的に食べる「おにぎり」と同じくイタリア人が日常的に食べる「パニーニ」には共通点がありました。それはどちらも「おふくろの味」だということ。
それぞれの家庭ごとに少しずつ味や具材が違い、気軽に持ち歩けランチに食べることができるおにぎり。イベントでもそういう説明をすることで、イタリアの人たちもおにぎりがどういう食べ物か身近に感じてくれたように思います。特にママンの味が大好きなイタリア人。日本のお母さんの味にも興味津々だったのかも。
そして、もう一つは「梅干し」の人気です。日本人でも幼い子どもたちは苦手なことも多い梅干し。海外ではなかなか受け入れられないのでは…と考えていました。ですが、アペリティーボなどでピクルスをいつも食べているイタリア人には問題無し。
梅干しもピクルスも常備菜になり、疲労回復を促進してくれます。国は遠く離れていても食事への考え方に共通点を見つけることができました。ヨーロッパの中でも特に食事への関心が高いイタリア。おにぎりが受け入れられる土壌は見つけられたので、おにぎり協会では引き続き現地の食材を使ってのミラノご当地おにぎりを研究したいと思います。(つづく)